院長ブログ

2009.10.14更新




歯並びの矯正と言ってもいろいろあります。
出っ歯、受け口、八重歯、乱杭歯、開口(オープンバイト)、正中離開
などで悩んでおられる方がたくさんいると思います。
現在の歯科界では矯正治療の多くで抜歯をして歯を並べるテクニックが主流です。抜歯するのは主に第一小臼歯で前から4番目の歯なのでヨンヨン抜歯とよく呼びます。
しかし第一小臼歯は咬み合わせに非常に大切な歯です。絶対抜いてはいけません。
抜歯矯正は歯が並ぶスペースがないと言って抜くわけですが、抜かなくてもいろいろなテクニックを駆使すれば並ぶスペースを作ることができます。
歯列矯正というのは不正咬合を治しできるだけ正常な咬み合わせを作る事が重要です。大事な大事な第一小臼歯を抜いてしまってどうして正常咬合と言えるのでしょうか?
 
矯正先進国のアメリカでは抜歯矯正の弊害が問題になり、非抜歯矯正が主流になっています。しかし日本ではいまだに抜歯矯正の割合が高いのが現状です。
 
以前私は咬み合わせが体に及ぼす影響についていろいろな所で勉強させてもらいました。一本の歯の治療が原因で人生を狂わされることがあるほど咬み合わせは大事なのです。その咬み合わせの中でも一番大事なのが第一小臼歯の咬み合わせなのです。したがって抜歯矯正が主流の現在では、矯正治療そのものを悪として絶対に矯正をしてはならないという本を書かれている先生もいます。私も第一小臼歯を抜くくらいなら今の歯並びを変えない方が良いと思っていました。
 
ある時ひとりの女性が当院に来られました。体調がすごく悪く病院でいろいろ検査をしても原因がわからないので、矯正で4本の小臼歯を抜いたのが原因ではないかと相談されました。口のなかを見れば見かけはたしかに歯はきれいに並んでいますが、やはり奥歯はしっかりとした咬み合わせはできていません。体調不良との因果関係を証明することはできませんが、歯科医として言えるのは明らかな不正咬合です。残念ながら抜いた歯は元にもどりません。またその不正咬合を治す技術も私にはありませんでした。わたしが彼女にしたのは二つのアドバイスだけです。抜いたことを後悔してもしかたがないということと、今使っている保定装置を使わないことです。抜いたことをいつまでも後悔して自分を責めてもしかたがないし、ましてや矯正をした歯科医が悪いわけではありません。これが現在の一般的な矯正治療なのです。そしてもし咬み合わせが原因で体調が悪いのならば保定装置をはずせば歯は後戻りしますが、少し歯並びが乱れても歯は自然とその人に合った咬み合わせになっていきます。より自然にするしかないのです。
数ヶ月後に来院されたときは、ずいぶん体調が良くなったとおっしゃいました。その後も何度か来られましたが、来るたびに良くなっていました.本当に嬉しいことです。
 
このように現在の矯正治療に疑問を持っていたある時、神奈川歯科大学矯正科の佐藤貞夫教授の講演を聴いて衝撃を受けました。
聴いたというよりも見たと言う方が正しいと思いますが、今までは自分も矯正というのはある程度歯を抜かないとできないものと思っていましたが、その先生の症例はすべて小臼歯を抜かない非抜歯矯正だったのです。まるで私には手品のように見えました。非抜歯でこんなにもきれいに治るのかと本当に感動しました。
 
これだと思いました。
その先生の治療法は矯正の分野では少数派と聞き、これは自分で矯正するしか患者さん助けることができないと思いました。そしてその先生の矯正のセミナーを受講したのですが、それからが大変でした。なにしろ細かいことを教えてくれる人がまわりにいなかったからです。途中で挫折しそうになったこともありましたが本当に少しずつほふく前進のように実績を積んでいきました。
今では本当に自信を持って言えます。抜かずに矯正はできます。しかも抜歯矯正よりも治療期間は短いです。マウスピース矯正なども併用すればブラケットやワイヤーを付けている期間も短縮できるようになってきました。この様な治療が患者様に提供できるようになったのも、多くのすばらしい先生方との出会いがあったからです。本当に本当に感謝しています。

投稿者: はた歯科